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2007年9月 6日 (木)

フェルマーの最終定理(サイモン・シン著)

フェルマーの最終定理 フェルマーの最終定理(サイモン・シン著;新潮文庫)を読みました。

最初単行本が出版された際にはだいぶ話題になったようですが、そのときは手に取らず、最近書店で偶然に文庫版を見つけたので購入しました。

中学で習うピタゴラスの定理(三平方の定理)は「直角三角形の斜辺zの二乗は、他の二辺x,yの二乗の和に等しい。」であり、記号で書くと

2 + 2 = 2

となります。これはすべての直角三角形で成り立ちます。この方程式を満たす数の組み合わせとしては、(3,4,5)や(5,12,13)などが知られています。さらに、この数の組み合わせは無限に存在します。
ここで指数を2から3に上げた場合

3 + 3 = 3

はどうやら数の組み合わせはないらしい。
さらにもっと大きな指数でも存在しないと以下のように、17世紀のフェルマーは主張しました(フェルマーの最終定理)。

n + n = n
この方程式はnが2より大きい場合には自然数解をもたない。

さらにフェルマーは余白には以下のように書き込んだのです。

私はこの命題の真に驚くべき証明をもっているが、余白が狭すぎるのでここに記すことはできない。

本書ではピタゴラスの話から、ワイルズが完全に証明するまで、三世紀に及ぶ数学者たちの歩みが書かれています。
訳者のあとがきには以下のように評価されていました。

サイモン・シンは一般読者に理解してもらえる記述をすることに骨身を削っている。実際、本書には難解なことは何一つ出てこないにもかかわらず、ワイルズが何をやろうとし、どういう道筋をたどったかが鮮やかに見えるようになっている。専門的な数学を事細かに説明せずとも、数学上の業績の偉大さをこれだけの説得力をもって訴えうるというのは、たいへんな力量である。フェルマー関係の本は数多く刊行されているけれども、"フェルマーの最終定理"の証明が数学全体にとってどういう意味をもつのかをドラマティックにわかりやすく描いているという点で、本書の面白さは群を抜いている。

数学の本であるにも関わらず難解になり過ぎず、自分も引き込まれるように読み進められました。

<リンク集>

フェルマーの最終定理-Wikipedia
フェルマーが驚くべき証明を得たと書き残したと伝えられ、長らくその証明も反例も知られなかったことからフェルマー予想とも称されたが、360年後にワイルズによって完全な証明が発見され、フェルマー・ワイルズの定理と呼ばれるに至る。

ピタゴラスの定理-Wikipedia
直角三角形の 3辺の長さの関係を表す等式である。三平方の定理(さんへいほうのていり)とも呼ばれる。

<関連記事>

宇宙創成
サイモン・シン著。こちらは宇宙のビッグバンを取り上げています。本書同様分りやすく書かれています。

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